モバイルWiFiって固定回線の代わりになるの? 実際にどんなときもWiFiを1週間使ってみて検証してみた

「28.5%ーー」これはPocket Wi-Fiやスマートフォンなどのモバイル回線を自宅のインターネット回線として利用している人の割合です(出典元: MyVoice、2019年2月に調査実施)。
複数回答可のため固定回線+モバイル回線など併用している人も含まれていますが、2年前の調査結果と比較すると、光回線の伸び率は横ばいを示すなかモバイル回線が8.5%も伸びていることから最近では固定回線を利用せず、モバイル回線を利用する人が増えていることがわかります。
引越しなどにともない新居に固定回線を引くか、外出先にも携帯できるモバイルWiFiを利用するか悩んでいる人も多いはず。この記事ではモバイルWiFiを自宅でのインターネット回線として利用する際の注意点(速度制限など)と実際にモバイルWiFiを自宅でのインターネット回線として利用してみた感想をまとめます。
モバイルWiFiって?どんなものがあるの?

モバイルWiFiとは、外出先にWiFi環境を携帯できるデバイス。いわゆるモバイルWiFiルーターと利用する通信サービスのことを指します。
固定回線の場合は環境に応じて回線を決めて工事が必要になるなど、利用開始までにかなりの時間がかかりますが、モバイルWiFiは申し込んだその日に利用できるなど、非常に手軽でカンタンに導入することができます。
モバイルWiFiには大きくわけて以下のような3種類が存在しています。
スマホとまとめておトクなキャリアのモバイルWiFi
モバイルWiFiルーターの先駆けとなったのが2009年にイー・モバイルから発売された「Pocket WiFi」で、今でもワイモバイルやソフトバンクから発売されています。同じようにキャリアの回線を利用するモバイルWiFiにはドコモの「Wi-Fi STATION」、auの「Speed Wi-Fi NEXT」があります。
キャリアから発売されているモバイルWiFiの特徴は、高速な通信速度、幅広いエリア、スマートフォンとのセット割によっておトクで利用できることやスマートフォンで契約しているプランのデータ容量をシェアできること、スマホやタブレットと料金をまとめられることです。
月間データ量を気にせずネットが使えるWiMAXのモバイルWiFi

WiMAX回線を利用するモバイルWiFiの特徴は、高速なネットを月間データ量を気にせず使えることです。
WiMAXのモバイルWiFiでは、ハイスピードなWiMAX 2+だけを利用する「ハイスピードモード」と、WiMAX 2+とau 4G LTEを併用する「ハイスピードプラスエリアモード」の2種類を切り替えて利用できます。
WiMAX 2+は下り最大440Mbps(一部地域では下り1Gbps)と非常に高速ですが対応エリアが狭いという欠点があるため、au 4G LTEと併用することで広いエリアでネットを使うことができます。WiMAX 2+には月間データ量に上限がないので固定回線として利用されることも増えてきています。
なお、WiMAXの回線はUQが保有していて格安スマホ/格安SIMと同じように、UQから回線をレンタルしてサービスを提供している事業者もあり、契約する事業者によって料金やサービスの内容に違いがあります。auの「Speed Wi-Fi NEXT」もWiMAX回線を利用したモバイルWiFiです。
安く利用したいならSIMフリーのモバイルWiFi
手間をかけてもとにかく安くモバイルWiFiを利用したいのであれば、SIMフリーのモバイルWiFiを選ぶという手もあります。自分でモバイルWiFiルーターを購入して回線も自分で用意し、設定まで自分で行う必要があるためハードルは高いですが、料金は低く抑えることができます。
最近ではモバイルWiFiルーターと回線をセットにして販売している格安スマホ/格安SIM事業者もあるので昔よりはハードルが下がっています。
そもそもモバイルWiFiって固定回線のように無制限なの?

モバイルWiFiと固定回線の大きな違いは速度制限の有無です。
固定回線も完全無制限ではないものの帯域を占有するような過剰な使い方をしない限りは速度制限はかかりません。一方、モバイルWiFiには以下のような速度制限が存在します。
キャリアのモバイルWiFi
・契約している料金プランのデータ量を超えると最大1Mbpsまたは128kbpsに制限される
・ワイモバイルの場合は上記に加えて、前日までの3日間で10GB以上を利用すると当日18時から翌日1時まで送受信ともに最大1Mbpsに制限される
WiMAX
・「ハイスピードモード」(WiMAX 2+): 直近3日間の速度制限あり
・「ハイスピードプラスエリアモード」(WiMAX 2+、au 4G LTE): 直近3日間の速度制限あり、月間7GBの速度制限あり
※直近3日間の速度制限: 直近3日間で10GB以上利用(両モード合計)すると翌日の18時ごろから翌々日の午前2時ごろまで送受信ともに1Mbpsに制限
※月間7GBの速度制限: 1ヶ月にデータ量が7GBを超えると速度制限。ハイスピードモードのデータ通信量はカウントされないが、制限は適用される
WiMAXには複雑な速度制限が存在していますが、WiMAX 2+だけを利用していれば直近3日間で10GB以上を利用しなければ制限されることはありません。
3日間で10GBと言われてもあまりピンと来ないかもしれませんが、PCでYouTubeを約7時間(超高画質)〜83時間(低時間)再生するとだいたい10GBになるようです。(参考: UQコミュニケーションズ)
Amazonプライム・ビデオやNetflix、DAZNといった動画ストリーミングサービスを1日に数時間利用するような超ヘビーユーザーは難しいかもしれませんが、無制限で利用することも不可能ではありません。
通信量無制限のどんなときもWiFi

キャリアのPocket WiFiにも「ギガ放題」とアピールするWiMAXにも速度制限は少なからず存在しています。
WiMAXのモバイルWiFi「WiMAX Speed Wifi NEXT WX05」をレビューした時に固定回線がわりに使いましたが、基本的に自宅作業かつ毎日1〜2試合NBAをストリーミングで観戦しているため、すぐに直近3日間・10GBの速度制限が適用。また、WiMAX 2+はエリアが狭いため「ハイスピードプラスエリアモード」に切り替えることが多く、月間7GBの速度制限も適用されるなどWiMAXを固定回線として利用するのはかなり厳しいと感じました。
そこで今回は“月間容量制限や通信制限を一切設けておりません!”とアピールされている「どんなときもWiFi」を固定回線がわりに使ってみました。
「どんなときもWiFi」は、以下のような特徴があるモバイルWi-Fiです。
・著しくネットワークを占有するような大容量の通信・違法ダウンロード・不正利用を除いてデータ量無制限で使える
・トリプルキャリア(ソフトバンク・ドコモ・au)のLTE回線に対応
・エリアや建物の環境によって最適な通信キャリアの回線に自動接続
・世界107カ国で利用可能
これらの特徴はクラウドSIMで実現されています。通常のWiFiルーターはSIMカードは本体に差し込むことで通信が可能になりますが、クラウドSIMはWiFiルーターに組み込まれた仮想SIMの情報を書き換えることで通信を可能にします。

「どんなときもWiFi」では利用場所やデータ容量に応じてSIMの情報を書き換えることでデータ量無制限とトリプルキャリア、最適な回線への自動接続、海外での利用を可能にしているようです。
「どんなときもWiFi」の料金については以下の通りです。
料金プランは1種類で税抜き・月額4,410円。クレジットカード払いで24ヶ月・930円割引が適用されるため2年間は月額3,480円、25ヶ月目以降は長期割によって430円割引が永続適用されるため3,980円で利用できます。口座振替払いでは24ヶ月・430円割引が適用されるため、2年間は月額3,980円で利用できます。
なお、2年の更新制で1年目は19,000円、2年目は14,000円、26ヶ月目以降は9,500円の契約解除料が設定されているので解約のタイミングに注意が必要。契約解除料を払わずに済むのは25ヶ月目だけです。
実際に無制限のWiFiどんなときもWiFiを使ってみた

これまでの経験上、クラウドSIMは便利なものの通信速度が遅いという印象があります。
「どんなときもWiFi」はどれぐらい利用できるのか、固定回線の代わりになるのか実際に1週間使ってみました。
SNS・写真のアップロード
数百枚もの大量の写真をFlickrにアップロードしてみましたが、ストレスなくアップロードできました。ダウンロードに比べてアップロードのスピードはかなり速いと感じました。最近ではInstagramのライブ配信やTikTokなど動画をアップすることも機会も増えているのでアップロードのスピードも重要です。

ダウンロードは10Mbpsに届かないことが多くありました。また、初速が遅いのかTwitterのタイムラインを更新すると数秒遅れて画像が表示されることがほとんどでした。
YouTubeなどの動画サービスを実際に視聴してみた
YouTubeは多少読み込みに時間がかかりますが視聴はできます。画質をHD以上に上げると再生中に動画が止まることも。若干ではありますがストレスを感じました。
また、平日の朝にライブ配信されているNBAのゲームをPCでストリーミング視聴しましたが、こちらは止まることなく快適に見れました。
オンラインゲームのSwtichは問題なく使える?

次はNintendo Switchでスプラトゥーンのオンライン対戦をプレイしてみました。プレイしたのは日曜の昼ごろなのでマッチングしやすい時間帯。
通信速度は10Mbpsも出ていませんが、マッチングは短時間で終わってバトル中に通信が途切れたりラグが出たりすることは一切なく快適にプレイできました。
Nintendo Switchはモバイルデータ通信の機能がないとはいえ、家庭用ゲーム機ながら外にも持ち出せるためモバイルWiFiなどのあまり質の高くないネット環境にも最適化されているのかもしれません。
音楽ストリーミングを使って作業用BGMとしても聞ける?

オンラインゲームが快適にプレイできるなら音楽のサブスクリプションサービスも快適に聴けるだろうと思っていましたが、Spotifyは問題なく視聴できたものの、Apple Musicは起動した直後に「読み込み中」の文字と読み込みマークがグルグルして音楽を選ぶこともできませんでした。
まとめ

「どんなときもWiFi」のデータ量無制限は確かに魅力的です。データ量を気にせずアプリをダウンロードしたり、動画を見たり、写真をSNSにアップしたり、オンラインでゲームをするなど、ほかのモバイルWiFiでは得られないストレスからの開放があります。
ただ、それと引き換えに通信速度にはストレスを感じるかもしれません。「どんなときもWiFi」の通信速度は速くても10Mbpsを少し超えるぐらいで休日の昼間は5Mbpsそこそこ。通信速度に関しては固定回線やWiMAXには遠く及びません。
また、モバイルWiFiのため出力が弱く家の中でも電波が届きにくいところでは通信速度が落ちてしまうので、お風呂に入りながら動画を見たいときはモバイルWiFiを持っていく必要があります。ただ、家族で住んでいてリビングでWiFiを使いたいという人がいればどちらかは我慢するしかありません。同時接続台数が5台ということも頭に入れて置く必要があります。
スピードを我慢してでもデータ量は気にせず使いたい人、1〜2人ぐらしのならば固定回線として検討してもいいかもしれません。
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